2006年01月25日

ストーリーそのものがトリック

クリスティーの「ナイルに死す」と坂口安吾の「不連続殺人事件」。ミステリー好きにはおなじみの傑作。

どちらも泥沼の恋愛をストーリーのベースとし、メイントリックも同じ。どちらも小技に時間差トリックなんか使っているが、ベースとなるトリックはあまりにシンプル。下手なやつが真似したら一発でバレそうな、ある意味きわどいネタともいえる。だが、最後までそれを察知させないのが両巨匠の筆力というものか。

坂口安吾は、太宰治などと並ぶ無頼派の作家。「不連続殺人事件」は、戦後の混乱期を舞台に奇人変人揃いの作家・文人が山奥の山荘に集まり、醜悪怪奇な人間関係を展開するうちに次々殺人が起こるという趣向。戦時中の疎開や戦後の食糧不足など時代背景が濃厚なあまり、なかなか読まれないのは残念。いわゆる安吾調の文章は時代がかって感じられるが、ところどころ普遍的で色褪せないものがきらめいている。

これに対し、クリスティーの「ナイルに死す」は映画化されて、いたってポピュラーな作品。ナイル川クルーズを舞台としたトラベルミステリーの趣きもある。旦那さんが考古学者だった関係からか、中近東を舞台とした作品は楽しいものが多い。

「ナイルに死す」と「不連続殺人事件」に共通するフレームを使って、最後までバレずに読ませきる作品って他にないのだろうか。あるなら、ぜひ読んでみたい。
posted by gsks at 11:37| Comment(29) | TrackBack(11) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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